義亜の穴

私たちの長男・義亜は生まれつきのアトピーだった。生後半年には、重症のアトピー性皮膚炎と小児喘息の診断を受けた。大きくなれば治ると期待したのに、義亜のアトピーはどんどんひどくなっていく。でも義亜自身は、そんな大っきな重荷を背負いつつも、神様の守りと憐れみで、優しくていい子にしっかり成長していく。


ある時、私は、「神様、義亜を神様に捧げますから、どうかどうか、義亜のアトピーを癒してください。」と祈った。そんな中、義亜は「僕は神様が僕にくれたアトピーと言うちっちゃい十字架を背負って、イエス様の大っきな十字架の後をついていく。一生懸命ついていく。」と告白し、献身した。「やった!これで義亜は癒される」


でも、義亜のアトピーは癒されるどころかひどくなっていく。神学校4年生の春、どうしようもなくアトピーが悪くて辛くて、肉体的にも精神的にもいっぱいいっぱいに追い詰められて、神学校の寮から家に帰ってきた。義亜の体を見て胸が詰まる。夜、義亜の部屋から「ウオー」と言う、うめき声とも叫び声とも言えない声が聞こえる。ある晩、夜中に泣きながら、私たちの寝ている部屋にやってきた。「もういやや、もうこんなんいやや、どうして神様は、どうして神様は、わー!!」と言って、壁を拳で思いっきり殴った。「あ!!」 バーン!!、と言う音とともに壁にこぶし大の穴が開いた。よかったー!! 神様ありがとうございます。義亜の拳が砕けなくて、本当に、本当によかった。ありがとうございます。ありがとうございます。


義亜は今33歳。社会福祉士の資格を持って、ケアマネージャーとして働いている。自分が弱さを持っているから、弱い人の気持ちがわかるし、そんな人たちに寄り添いたい。お役に立ちたい。そう言って日々奮闘している。アトピーが癒されたわけではない。でもそこには、神様と義亜の間でしかわからない深い導きと会話があったんだと思う。今も、その壁にはきっと義亜のこぶし大の穴が開いていると思う。でも、それは、いろんな辛い日々を通りながら、神様と格闘しながら得た、義亜の勲章だと思う。

那覇めぐみ教会

沖縄県那覇市にある聖書的プロテスタント教会で、日本同盟キリスト教団に所属しています。ブログは随時更新していますので、記事一覧から最新情報が確認できます。

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